会社を辞めて派遣会社に登録する予定なんだけど、派遣会社に雇用された場合に再就職手当ってもらえるの?普通の事業会社に就職しないともらえないんじゃないかと思って不安なんですが。。。
上記、由里子さんの不安ですが、結論から言うと再就職手当は派遣で働いてももらえます。ただ、一定の要件があり、満額を貰う場合は、ある一定の2ヶ月間に就職しなければなりません。
ある一定の2ヶ月以降でも再就職手当はもらえるのですが、日数が経つにつれて減額されますので、できればその2ヶ月で派遣会社への就職を決めたいところではあります。
倒産で離職したり、人材紹介会社やハローワークから正社員として職を紹介された場合には、その2ヶ月ではなくなってしまいますが、前回記事にしたとおり、とりあえずはこのご時世、派遣で働いて様子を見るのがベストです。
本記事では、「派遣会社へ就職することを前提に再就職手当をもらう要件」「金額の計算方法」「再就職手当を受給しなければもらえない別の手当」を記事にしました。
派遣で働き始めた場合の再就職手当の取得要件
下記は、会社を辞めて新たに派遣で働きだした場合に再就職手当を受給できる要件です。
- 1年を超えて勤務することが確実であること
- 以前の職場への再就職で無いこと
- 雇用保険の被保険者になっていること
- 7日間の待機期間満了後に派遣で働き始めたこと
- 給付制限がある場合は、待機期間満了後1ヶ月はハローワーク等の紹介による就職であること
- 基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること
- 過去3年以内に、再就職手当等を受給していないこと
- 受給資格決定前から内定していた就職でないこと
下記で深堀してみます。
要件①「1年を超えて勤務することが確実であること」
これは派遣社員として働く際に、クエスチョンマークのつく問題。派遣元人材会社に就職が決まると、最初の雇用期間は3ヶ月間になっていることがほとんどで、再就職手当の受給資格に該当しないように思えます。
派遣でも大丈夫な理由
しかしながら、派遣社員の場合、雇用契約書兼就業条件明示書に契約期間が記載されていても、再就職手当支給申請書に「更新の見込みあり」と書かれていれば再就職手当の受給資格があると認定されます。
要件②「以前の職場への再就職で無いこと」
これは例えば、派遣先企業との派遣契約の期間が満了して、一時的に仕事がなくなり、次の派遣先を考えたとき、再就職手当を受給したいのであれば、別の派遣会社に登録をして働く必要があるということです。
派遣会社のはしごに注意
ただ、別の派遣元人材会社に新たに登録をしていたりすると再就職までに時間がかかって、再就職手当の金額が下がったり、最悪の場合には、もらえなくなったりする可能性もあるので注意しましょう。
要件③「雇用保険の被保険者になっていること」
1週間の所定労働時間が20時間以上である場合は、雇用保険の加入が義務付けられているので、その場合に前職に1年以上勤務している場合は要件を満たします。
要件④「7日間の待機期間満了後に派遣で働き始めたこと」
ハローワークに離職届を提出すると、そこから7日間の待機期間が始まります。この待機期間中に就職が決まると、再就職手当がもらえないので、7日間の待機期間後に派遣会社で働くようにしましょう。
要件⑤「給付制限がある場合は、待機期間満了後1ヶ月はハローワーク等の紹介による就職であること」
通常の再就職手当の申請
自己都合で会社を退職した方は7日間の待期期間終了後、3ヶ月の給付制限があります。この給付制限中の最初の1ヶ月間は、ハローワークや職業紹介事業者の紹介で就職した場合のみ再就職手当が受給されます。
派遣会社に就職した場合の申請
つまり、会社を自己都合退職後に派遣会社で働く場合、給付制限の2ヶ月目以降に就職すれば再就職手当が受給できるということです。
ちなみに離職理由が自己都合等でない場合は、この制限はありません。
その他の再就職手当の受給要件
⑥基本手当支給残日数が3分の1以上あること
例えば、待機期間が過ぎて6月1日から失業給付の支給が開始された場合で、所定給付日数が90日の場合には、8月29日が90日目になります。この場合、7月29日までに就職しないと再就職手当の支給は受けられないことになります。
⑦過去3年以内に再就職手当等を受給していないこと
これは、再就職手当、常用就職支度手当のどちらも受給していないことが要件となります。
⑧受給資格決定前から内定していた就職でないこと
離職後すぐに次の職場が決まるのは珍しですが、ヘッドハンティング等で離職した場合は受給資格決定前から内定したいた就職になるので注意。
再就職手当の計算方法
再就職手当の金額は上記の表に従って計算すれば事前に知ることができます。下記で「所定給付日数」「基本手当日額」の意味と「再就職手当の具体的金額」をパターン別に紹介します。
所定給付日数
「所定給付日数とは、失業保険を受給できる最大日数のことです。離職時の年齢や雇用保険の被保険者であった年数、離職の理由」によって、90~360日の間で決まります。
基本手当日額
「基本手当日額」とは、離職前の賃金を基に算出した1日当たりの支給額を言います。雇用保険受給資格者証に記載があります。また、下記のとおり上限が設けられています。なお、毎年8月1日に基本手当日額の上限は改定されます。
- 離職時の年齢が60歳未満の場合:6,165円
- 離職時の年齢が60歳以上65歳未満の場合:4,990円
再就職手当の具体例
下記では再就職手当の金額の具体例を紹介します。
29歳で離職
- 基本手当日額:5,531円
- 所定給付日数:90日
- 支給残日数:90日
- 所定給付日数割合:
- 再就職手当:348,453円
上記は、月給25万円で8年勤務の後に自己都合退職した場合の満額の再就職手当です。
33歳で離職
- 基本手当日額:5,954円
- 所定給付日数:90日
- 支給残日数:90日
- 所定給付日数割合:70%
- 再就職手当:375,102円
上記は、月給30万円で3年勤務の後に自己都合退職した場合の満額の再就職手当です。
40歳で離職
- 基本手当日額:6,150円
- 所定給付日数:120日
- 支給残日数:120日
- 所定給付日数割合:70%
- 再就職手当:516,600円
上記は、月給35万円で15年勤務の後に自己都合退職した場合の満額の再就職手当です。
再就職手当の最大のメリット「就業促進定着手当」
「就業促進定着手当」とは、ざっくりと言うと再就職手当を受給後、再就職先の賃金が離職前の賃金より低い場合に、低下した賃金の6か月分を支給する制度です。下記は具体的な要件です。
- 再就職手当を受給したこと
- 再就職手当の支給を受けた再就職の日から、同じ事業主に6ヶ月以上、雇用保険の被保険者として雇用されていること
- 所定の算出方法による再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回っていること
PDF 再就職後の賃金が、離職前の賃金より低い場合には「就業促進着手手当」が受けられます/ハローワーク
就業促進定着手当の申請方法
「就業促進定着手当」の申請の期限は、再就職した日から6ヶ月経過した日の翌日から2ヶ月となっています。ここへ来てまた「2ヶ月ルール」が発動されますが、まじめに働ているとあっという間に時間は過ぎてしまいますので、下記書類を忘れずに再就職手当の申請を行ったハローワークに申請しましょう。
- 就業促進定着手当支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 就職日から6ヶ月間の出勤簿の写し
- 就職日から6ヶ月間の給与明細又は賃金台帳の写し
短期の派遣ではおすすめしない就業手当
「再就職手当」が1年以上の雇用の見込みがる場合に受給できるのに対して、「就業手当」は1年未満の就業について支給されます。
就業の要件が「契約期間が7日以上」「週の労働時間が20時間以上」「1週間に4日以上勤務」なので、アルバイトや1年以上の雇用の見込みのない派遣でも支給されるのですが、金額を計算すると総額では損をする場合があるのであまりおすすめしません。
就業手当狙いでちまちま職を探すより、しっかりと長期で、スキルアップできる派遣を選んで、がっつり再就職手当を狙ったほうが、後々のためになります。
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