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フィリピン不動産投資の失敗を防ぐ「マセダ法」とは?解約時の返金ルールを全訳解説

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フィリピン不動産投資。日本でも多くのセミナーが開催され、書籍やウェブサイトでも魅力的な情報が発信されています。

しかし、ここはフィリピン。日本とは勝手が違い、建設の遅延や資金繰りの悪化など、不動産投資に関するトラブルは枚挙に暇がありません。

今回は、そんなフィリピン不動産投資において、投資家や購入者を保護する最後の砦とも言える法律「マセダ法(Maceda Law)」について、その仕組みと原文の日本語訳を解説します。

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マセダ法(Maceda Law)とは?

不動産分割払い購入者保護法(Republic Act No. 6552)、通称「マセダ法」とは、ある一定の要件を満たす購入者が支払いを継続できなくなった場合に、すでに支払った金額の一部を返金してもらえる制度などを定めた法律です。

 

適用対象となる物件

マセダ法の対象となるのは、主に以下の不動産を分割払いで購入する場合です。

  • 住宅用コンドミニアム
  • アパート
  • 一戸建て住宅
  • タウンハウス
  • 住宅用土地

※工業用地、商業用ビル、および既存のテナントへの売却には適用されません。

 

【重要】支払期間による2つの保護ルール

マセダ法では、購入者が「何年間分割払いを続けたか」によって、受けられる保護の内容が異なります。

 

1. 支払い期間が「2年以上」の場合

購入者が最低2年間(24ヶ月分)の分割払いを済ませている場合、以下の強力な権利が与えられます。

 

A. 支払猶予期間(Grace Period)の権利

支払いが遅れた場合でも、追加の利子なしに未払い分を支払うための猶予期間が与えられます。
この期間は「支払い年数 × 1ヶ月」で計算されます(例:3年払っていれば3ヶ月の猶予)。
ただし、この権利は5年に1回しか行使できません。

 

B. 解約時の返金権利(Cash Surrender Value)

契約が解約される場合、売主(デベロッパー)は購入者に対し、支払い総額の50%を現金で返金しなければなりません。
さらに、5年を超えて支払っていた場合は、5年目以降1年につき5%ずつ返金率が加算されます(最大90%まで)。

 

注意:契約の解除は、公証された解除通知を購入者が受け取ってから30日経過し、かつ上記の返金が完了した時点ではじめて有効になります。

 

2. 支払い期間が「2年未満」の場合

支払い期間が2年に満たない場合でも、購入者は以下の権利によって守られています。

  • 60日間の猶予期間:
    支払いが遅れた日から数えて、少なくとも60日間の猶予期間が与えられます。
  • 契約解除のルール:
    猶予期間が過ぎても支払いがなされない場合、売主は契約を解除できます。
    ただし、公証された解除通知を送り、そこから30日が経過するまでは契約は有効です。

 

よくある質問(FAQ)

Q. 権利を他人に売却・譲渡することはできますか?

はい、可能です(第5条)。
購入者は、デベロッパーとの契約上の権利を第三者に売却したり譲渡したりすることができます。また、支払いを再開して契約を更新することも可能です。
ただし、これらの手続きは契約が正式に解除される前に行う必要があり、譲渡証書は公証される必要があります。

 

Q. 一括で残債を支払うことはできますか?

はい、可能です(第6条)。
購入者はいつでも、未払いの残高を一括で支払う権利を持っています。その際、利息を支払う必要はありません。

 

Q. 銀行ローンで支払っている場合も適用されますか?

基本的に適用されません。
マセダ法は「デベロッパーへの分割払い」を対象としています。
銀行ローンを利用している場合、銀行がデベロッパーに対してすでに物件代金を全額支払っている形になります。購入者が現在支払っているのは「物件の代金」ではなく「銀行への借金返済」であるため、マセダ法の管轄外となり、通常の金融取引のルールが適用されます。

参考:8 Things You Need to Know about the Maceda Law

 

不動産分割払い購入者保護法(マセダ法)条文訳

以下は、共和国法第6552号(マセダ法)の主要な条文の日本語訳です。
原文はこちらをご確認ください。

 

共和国法 第6552号

第3条(2年以上の支払いがある場合)
購入者が少なくとも2年間の分割払いを行っている場合、債務不履行時には以下の権利を有する。

  • (a) 1年の支払いにつき1ヶ月の猶予期間を無利子で得る権利。(5年に1回のみ行使可能)
  • (b) 契約解除時、支払い総額の50%の返金を受ける権利。5年以上の支払いの場合は、毎年5%を追加し、最大90%までとする。

第4条(2年未満の支払いの場合)
2年未満の場合、売主は購入者に60日以上の猶予期間を与えなければならない。
期間内に支払われない場合、売主は公証された解除通知を送付し、30日後に契約を解除できる。

第5条(権利の譲渡)
購入者は、契約解除前であれば、自身の権利を売却または第三者に譲渡することができる。

第6条(早期一括返済)
購入者はいつでも、残りの分割払い額または残債全額を無利子で支払う権利を有する。

 

マセダ法の実際の適用事例

法律上は「50%返金」とありますが、実際の運用ではデベロッパーによって対応が異なります。インターネット上の情報や投資家の体験談によると、以下のような事例が報告されています。

DMCI社のケース
既支払額の半額から、さらに「マーケティング費用」や「ペナルティ」等が差し引かれ、実際の手取り返金額は約35%程度になることがある。
センチュリー(Century Properties)社のケース
ペナルティ等は引かれず、額面通り「既支払額の50%」が返金されるが、現金一括ではなく「6回の分割払い(先日付小切手)」での返金となる場合がある。

出典:フィリピン物件の損切り法

 

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