三連休の真っ只中ですが、フィリピンでは選挙が近づくと禁酒令(アルコール・バン)が出るため、お酒好きの在住者のみなさんは悶々とした日々を過ごしているかもしれません。私ことティーケージーです。
さて、近年のフィリピンの経済発展は目覚ましく、インフラ関連のビッグニュースが毎日のように飛び込んできます。特に「マニラに地下鉄ができる」「新しい鉄道が開通する」といった路線新設のニュースは頻繁に耳にするようになりました。
しかし、計画されている路線やプロジェクトが多すぎて、正直どこに何が建設されているのか正確に把握しきれていない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、マニラ首都圏で進行中の主要な鉄道プロジェクトの全貌を分かりやすく一本にまとめて整理しました。
マニラ地下鉄の運行ルート!主要駅の建設進捗と完成予定時期
フィリピンの主要ニュースメディア「インクワイアラー(Inquirer)」などで大きく報じられ、ついに本格始動したのが「メトロマニラ地下鉄プロジェクト(Metro Manila Subway)」です。ケソンシティのキリノハイウェイからパラニャーケのビクータンまでを結ぶ、マニラ初の本格的な地下鉄道計画です。
Metro Manila Subway project finally gets underway

進行中のメトロマニラ地下鉄路線マップ
上記が地下鉄プロジェクトの全体ルート図です。ケソンシティ北部からビジネス街のオルティガス、そして最先端都市のBGC(フォートボニファシオ)を経由する、まさにマニラの最重要ビジネスラインを形成する路線となります。これが完成すれば、深刻な通勤渋滞に悩まされるオフィスエリアへのアクセスが劇的に改善されることは間違いありません。

現地メディアが報じたプロジェクトの背景と、当時の運輸省(DOTr)の発表内容を分かりやすく要約して解説します。
マニラ初となる地下鉄プロジェクトの背景と期待
長年の懸案だったマニラの交通格差を解消するため、国家的な巨大プロジェクトであるメトロマニラ地下鉄がようやく現実のものとして動き出しました。バレンズエラ市での起工式を皮切りに、建設工事が着々と進められています。
最終的には全15駅を結ぶ一大インフラシステムとなる予定で、実現すれば東南アジアでも屈指の規模を誇る大量輸送インフラが誕生することになります。
当初、計画が発表された段階では、現地の人々から「水害の多いマニラに地下鉄なんて作れるわけがない」「ただの夢物語だ」と冷ややかな目で見られていました。深刻な洪水リスクやウエストバレー断層線による地震の脅威を理由に、1970年代から何度も計画されては頓挫してきた歴史があるからです。しかし政府関係者は、「今回の地下鉄駅は本当に完成します。単なる約束ではなく、実際の駅が姿を現すのです」と強い確信を示していました。
日本のODAと世界最高峰の技術による防災・耐震設計
この総工費3,550億ペソに及ぶ巨大プロジェクトは、日本からの政府開発援助(ODA)による潤沢な資金協力を受けて実施されています。世界最高峰の災害耐性技術と運行管理のノウハウを持つ日本の技術をベースに設計されており、水害対策や地震対策を徹底した世界クラスの安全な地下鉄システムが期待されています。
建設から日々の維持管理に至るまで日本のゼネコンが深く関わっており、ケソンシティのミンダナオアベニューからパサイ市のニノイ・アキノ国際空港(NAIA)までを、最高時速80キロ・わずか30分で直結する計画です。完成すれば、初年度から毎日30万人以上の通勤客がその恩恵を受けると試算されています。
ノースアベニュー駅を中心とした巨大結節点(グランドセントラル駅)
まずはキリノハイウェイ、タンダンソーラ、ノースアベニューといった主要な先行開通エリアから順次、部分運行や一般公開へ向けて準備が進められています。
特に「ノースアベニュー駅」は、既存のLRT1号線、MRT3号線、そして建設中のMRT7号線が一ヶ所に集結する巨大な総合乗り換えターミナル(グランドセントラル駅)として機能することになります。
ノースアベニュー周辺は、今後のインフラの要となるマニラ最大級のターミナルエリアに進化します。
運行開始時の正確な運賃表や詳細な駅の出入口の場所については、工事の進捗に合わせて順次アナウンスされる予定です。現行のルートマップを見る限り、主要幹線道路であるエドサ(EDSA)通りを走るMRT3号線とほぼ平行に走るバイパス路線として、通勤ラッシュの混雑緩和を強力にバックアップしてくれそうです。
メトロマニラ地下鉄の建設会社
比系ゼネコンおよび日系大手ゼネコン(清水建設、フジタ、竹中工務店など)による共同企業体(JV)
LRT1号線カビテ延伸ルート!南側新駅の開業遅延と用地問題


マニラ首都圏の西側を縦断する高架鉄道「LRT1号線」を、南部のカビテ州まで約11.6キロメートルにわたって延伸する巨大プロジェクトです。運営会社であるライトレールマニラ社(LRMC)主導のもと、段階的な部分開業に向けて建設が急ピッチで進められています。
【関連記事】【闇】日系企業が数多く進出する経済特区・工業団地カビテ
カビテ州への延伸が完了すれば、これまで深刻な渋滞によって車で1〜2時間以上かかっていたバコール(カビテ)から、マニラ西側の拠点であるバクラランまでの所要時間が、電車でわずか25〜30分へと劇的に短縮されます。
【関連記事】【マニラ観光】バクラランを歩くモデルルートはこれ一択!フィリピン最大級のローカル市場!
毎朝の激しい渋滞のせいで往復4時間以上を道路の上で無駄にしていた通勤客にとって、この鉄道延伸は生活の質(QOL)をワンランク引き上げるための最重要プロジェクトです。フル稼働時には、南部の「ニオグ(Niog)駅」まで線路が伸び、マニラ南郊に計8つの新しい高架駅が誕生します。
このプロジェクトを支えるのは、フィリピン大手財閥のアヤラ(Ayala)グループやメトロパシフィックなどの大手コンソーシアムです。また、国際協力機構(JICA)の資金協力を得て導入される新型の「第4世代車両」は、スペインのCAF社と日本の三菱商事による推進システムを搭載。すでに続々と現地へ納入されており、古い車両の改修と並行してマニラの線路を快走する準備が進んでいます。
LRT 1 extension project set to start
LRT1号線南伸プロジェクトの建設会社・運営会社
- 建設会社:比系・外資系主要ゼネコン各社
- 運営会社:ライトレールマニラ社(LRMC)
MRT7号線の部分開通はいつ?全14駅の停車駅と移動時間


マニラ首都圏の北東部から近郊都市を繋ぐ高架鉄道として、現在本格的な建設工事が進められているのが「MRT7号線」です。全長22.8キロメートル、全14駅で構成される新しいコミューターラインです。
路線のルートは、マニラ北郊のベッドタウンであるブラカン州の「サンホセ・デルモンテ(San Jose del Monte)」から、ケソンシティの「ノースアベニュー総合セントラル駅」までを結びます。通勤ラッシュ時の交通の利便性を一変させる路線として大きな期待がかかっています。
【関連記事】メトロマニラ計画断水の元凶「ラメサダム」近くのエコパークへ現状の水位を調査に行ってきました
この路線はケソンシティの大通り(コモンウェルスアベニュー)やカローカン市を横断し、終点となるブラカン州の駅には巨大なインターモーダル(都市間結節)ターミナルが整備される予定です。総事業費は約15.4億ドル(約627億ペソ)規模にのぼり、財閥系大手のサンミゲル(SMC)グループが主導してインフラ開発が進められています。
MRT7号線の運営会社
ユニバーサルLRTコーポレーション(サンミゲル・グループ傘下のULC)
LRT2号線東西延伸計画の現状!ディビソリア新駅とルートマップ

マニラを東西に横断する高架鉄道「LRT2号線」についても、路線の両端(東側のサントラン駅以東と、西側のレクト駅以西)をさらに引き伸ばす「東西延伸計画」がJICAなどの政府資料で進められています。
特に注目したいのが、現在の終点であるレクト駅から西側への延伸です。マニラ最大の激安問屋街である「ディビソリア(Divisoria)駅」が新設される計画となっており、実現すれば、あの混沌とした激しい渋滞道路を一切歩くことなく、安全にアクセスできるようになるため利便性は計り知れません。
【関連記事】【ディビソリアへの誤解を解く】マーケットだけじゃない。そんなに広くない。マニラ最大の激安エリアへの行き方と地図
フィリピンの公共事業あるあるですが、予算や用地買収の関係で準備段階のまま計画が一時的にストップしたり、時期がズレ込んだりする可能性はありますが、ローカルの悲願として進展が待たれるインフラ計画の一つです。
LRT2号線東西延伸計画の調査・コンサルタント会社
- 独立行政法人国際協力機構(JICA)
- 株式会社オリエンタルコンサルタンツ
- 株式会社片平エンジニアリング・インターナショナル
- 株式会社トーニチコンサルタント
(出典:フィリピン国LRT2号線延伸計画準備調査ファイナル・レポート)
マニラ空港直結鉄道やMRT8号線など新路線の建設計画一覧
マニラ首都圏では、上記でご紹介したメガプロジェクト以外にも、都市の拡大に合わせた以下のような次世代の鉄道インフラ計画が網羅されています。
- MRT8号線(東線プロジェクト):マニラ市のスタ・メサ駅を起点に、マンダルーヨン、パッシグ、ケソンシティを抜けてリザール州へと至る全長17km、計16駅の通勤路線。
- NAIAレイルリンク(空港直結線):国際空港(NAIA)の各ターミナルと既存の主要路線をスムーズに繋ぐためのアクセス専用鉄道計画。
- ノースレイルプロジェクト:マニラ中心部とクラーク経済特区(パンパンガ州)を高速で結ぶ、中長距離の超重要インフラ路線。
(参考:JICAオープンリポート「フィリピン国 LRT2号線延伸計画準備調査」)
あわせて読みたい:マニラ現地生活&主要エリア別・滞在完全攻略ガイド

今回ご紹介したメトロマニラ地下鉄やLRT・MRT延伸といった最新の鉄道インフラ計画をはじめ、各路線が結ぶ主要ビジネスエリア(マカティ・BGC・オルティガス・ケソン等)の治安特性、失敗しない安全なホテル選び、空港からのアクセスから現地生活情報まで、マニラ滞在に必要な全ノウハウを以下の総合ガイドで網羅・一元管理しています。
移動の効率化や快適な滞在計画を立てるバイブルとして、ぜひこちらのまとめ記事もあわせてご活用ください!



コメント
[…] メトロマニラ地下鉄プロジェクト、LRT1号線延伸計画などを路線図付きで解説 […]