マニラブのクラウドファンディング詐欺疑惑について法律的視点から分析、検証してみたら意外な答えが!?

やはり、土曜日は昼まで寝ている病にかかっているTKGです。朝一から外出しようと思ったのですが、不治の病にかかったようです(笑)。

さて、今日は、ひょんなことから絶賛炎上中、誹謗中傷されているマニラのガイドブック「マニラブ」について、法律的観点から解説していこうと思います。

あくまで個人的見解ですので、つっこみどころがたくさんあるかと思いますが、許してください。

マニラブとは

広義のマニラブとはマニラ在住の若者5人によって運営されている、新しいマニラを発見することを目的に様々な発信活動を行っているコミュニティです。

【参考】http://maniloveclub.com/

そして、狭義のマニラブとは、そのコミュニティが、出版したトラベルガイドブックのことを指します。注目すべきなのは、そのマニラブガイドブックを出版する資金をクラウドファンディングで集めたことです。

クラウドファンディングの詳細については割愛しますが、最終的に集まった資金は目標額の2,000,000円に対して、2,107,000円(支援者数205人)。この時点では、多くの人がマニラのイメージを変えようとしている若者5人の活動を期待しているかに見えました。

【参考】https://camp-fire.jp/projects/view/97645

マニラブ炎上、誹謗中傷

2019年4月中旬頃にその火種は徐々に大きくなってきました。ツイッター上でマニラブガイドブックを誹謗中傷する人が増えてきたのです。

その主な原因は下記のとおり。

  1. マニラブがデザイナーに対するデザイン料を買い叩いた。
  2. デザイナーが持っている元データをマニラブによこせとマニラブがデザイナーを恫喝した(脅迫罪)。
  3. デザイナー料がデザイナーに支払われていない(債務不履行)。
  4. マニラブはリーダー各であるたくせき氏の売名行為だ。
  5. スペシャル本がインターネット本だなんて聞いていない(詐欺罪)。
  6. メンバーは労働ビザをとっているのか(違法就労)。
  7. イベントの収益はどこにいっているのか。

などなど、細かいところを挙げればきりがありませんが、だいたい上記に集約されるでしょう。

クラファン詐欺

マニラブのクラファン詐欺疑惑が出たのは3月の終わりごろ。「スペシャル本が紙媒体ではなく、ウェブ媒体であったのが詐欺行為だ」というツイートをこの人はリツイートして、それがクラファン詐欺だということを主張しています。

クラファン詐欺といいますが、このマニラブガイドブックについてのクラウドファンディングの法的性質というのは売買にあたるのでしょうか?投資にあたるのでしょうか?

当該クラウドファンディングのプラットフォームであるキャンプファイアーの利用規約に取引の性質が記載されています。

この購入型プロジェクトにマニラブガイドブックが該当したなら、かなりシビアにガイドブックのクオリティが判断されます。支援金の対価としてガイドブックが提供されるのですから。

キャンプファイアーのもう一つのプロジェクトの種類にこの寄付型プロジェクトがあり、4項に「本寄付は、リターンの提供との間に、対価性を持つものではなく、リターンは、寄付への返礼として行われるものとします。」とあるので、マニラブがこの寄付型だったとすると、ガイドブックのクオリティや媒体種類はあまり問われないこととなります。

【出典】https://camp-fire.jp/term

そこでマニラブガイドブックがどのプロジェクトに該当するか調べたところ、どこにも記載はありませんでした。記載があったのは下記の記載のみ。

④マニラに関連する政府機関、企業、個人を巻き込んだ共創型のプロジェクト

共創型というあいまいな言葉を使ってしまっています。このあたりの曖昧さも今回の炎上の1原因だったのかも知れません。ただ、社会通念上、購入型プロジェクトと思われても仕方の無い状況であったと思います。

刑法の詐欺罪

ここで詐欺の定義があいまいですと、議論してもかみ合わないので、刑法の詐欺罪の条文と構成要件(犯罪が成立するための要件)をみてみましょう。

刑法第246条

  1. 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
  2. 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪の構成要件(出典:詐欺罪 – Wikipedia

  • 一般社会通念上、相手方を錯誤に陥らせて財物ないし財産上の利益の処分させるような行為をすること(欺罔行為(作為・不作為も問わない)又は詐欺行為)
  • 相手方が錯誤に陥ること(錯誤)
  • 錯誤に陥った相手方が、その意思に基づいて財物ないし財産上の利益の処分をすること(処分行為)
  • 財物の占有又は財産上の利益が行為者ないし第三者に移転すること(占有移転、利益の移転)
  • 上記1〜4の間に因果関係が認められ、また、行為者に行為時においてその故意及び不法領得の意思があったと認められること

おかちゃん氏が言いたいのは、「スペシャル本が紙媒体と言ってた又はそう思い込ませるような状況を作っておいて、実際はウェブ媒体というのは、スペシャル本が紙媒体と思って出資した支援者を欺いて、財物を交付させたので詐欺に該当する」ということだと思います。

では、実際、マニラブは「スペシャル本は紙媒体です」と宣言していたのか?又は支援者が「スペシャル本は紙媒体だ」と思わせるような状況を作り上げていたのか?論点はそこだと思います。

また、詐欺罪の構成要件には行為時に「故意及び不法領得の意思」がなければ詐欺罪は成立しないことになっています。

マニラブのスペシャル本

ある人のツイートに具体的な画像が載っていました。実際にこの画像を見て、スペシャル本は紙媒体だと思っていたようなことを述べています。「思ってた」、つまり、マニラブは具体的に「スペシャル本は紙媒体です」とは、断言していなかったということですね。

スペシャル本に対する欺罔行為

ただ、断言していなくても詐欺罪の構成要件である欺罔行為に作為、不作為は関係ないとありますので、他人がそう思うような状況を作り上げたのであれば、それは欺罔行為に該当します(Wikipediaには消極的欺罔という記載があります)。

この不作為の欺罔行為については、かなり微妙、微妙すぎるので、弁護士などの専門家に判断をゆだねるしかないです。

相手を錯誤に陥らせて

また、構成要件に「相手方を錯誤に陥らせて」という要件があります。これ一つとってもかなり専門的な知識や文献を調査するのに時間がかかりますので、専門家にまかせたいところですが、個人的には「スペシャル本がウェブ媒体だと当初から知っていたなら支援者は支援しなかったのか」につきると思います。

私は、このマニラブガイドブックにおけるクラウドファンディングの性質上、たとえスペシャル本が当初よりウェブ媒体であったとしても、ほとんどの支援者はお金を出して支援した可能性がかなり高いと思います。

よって、個人的ではありますが、この「相手方を錯誤に陥らせて」という詐欺罪の構成要件に今回の件は該当しないと思います。

行為時の故意

刑法上の詐欺罪が成立するには構成要件上「行為者に行為時においてその故意及び不法領得の意思があった」ことが認めなければなりません。

上記ツイートのように、クラファン詐欺を主張する団体の代表(!?)おかちゃん氏も、行為時の故意については、否定しています。

したがって、行為時の故意に関しては、否定されるのが多くの人の見解だと思います。

刑法上の立証責任とは

マニラブ関連ツイートで「マニラブ側が証拠を出せ」「被害者側が証明しろ」という不毛な議論が度々立ち上がるので、決着をつけたいと思いますが、日本の刑法上、刑事裁判では、被告人の犯罪を立証する責任は検察官にあります。

「疑わしきは罰せず」「疑わしきは被告人の利益に」という格言を聞いたことがあると思いますが、日本の刑法の考え方の一つであるというのは法学学習者であれば既知の事実です。

そして検察官が立証できなかった場合には、その犯罪行為の事実は無かったものとして、被告人に有利な判断をしなければならず、すなわち無罪の判決を言い渡すことになります。

【参考】裁判手続 刑事事件Q&A Q. 立証責任とは何ですか。

ツイッター上でのこの立証責任紛争は、議論してもらちがあきませんので、マニラブ擁護側は「立証責任は詐欺罪を主張する方にあります。立証できないのであれば犯罪を匂わせる言動はやめてください。もっと法律を勉強してください。」と主張するのがベストです。

民法の詐欺

実は詐欺には刑法上の詐欺と民法上の詐欺があります。刑法は個人と国との関係、民法は個人と個人との関係です。下記は民法の条文です。

民法第96条

  1. 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
  2. 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
  3. 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。

ちょっと民法典上の条文では、表記がうすいですね。そこで、この民事上の詐欺も法律学者や判例によって、下記のとおりその成立要件が決まっています。

表意者に対して欺罔行為をすること

作為や不作為を問わず、沈黙や単なる意見の陳述も状況によっては詐欺になりえます。ただ、信義に反し違法性が認められる程度のものでなければならず、日常の商取引において許容される程度の誇大な口説などは欺罔行為があるとまではいえないとされています。

【出典】

  • 川井健著「民法概論1 民法総則 第4版」有斐閣、2008年3月、185頁
  • 我妻栄・有泉亨・川井健著「民法1 総則・物権法 第2版」勁草書房、2005年4月、152-153頁
  • 内田貴著「民法Ⅰ 第4版 総則・物権総論」東京大学出版会、2008年4月、77頁
  • 我妻栄・有泉亨・川井健著「民法1 総則・物権法 第2版」勁草書房、2005年4月、153頁

この要件も刑法上の欺罔行為の要件と同じく、微妙ですのでここでは詳しく言及しないこととします。

相手方が錯誤に陥ること

これも刑法上の構成要件に似たようなものがありましたが、「スペシャル本がウェブ媒体だと当初から知っていたなら支援者は支援しなかったのか」につきると個人的には思います。

ウェブ媒体であっても、当時の勢いからすると支援者は支援した可能性が高かったのではないでしょうか。

【参考】 川井健著「民法概論1 民法総則 第4版」有斐閣、2008年3月、185頁

欺罔行為をした者に故意(錯誤に陥らせて意思表示させようと意図)があること

これも刑法の構成要件と同じような成立要件です。マニラブがクラファンで支援者を集める際に、支援者をだます意図があったのでしょうか?

支援者をだます意図があったのであれば、随時状況報告はしなかったであろうし、今回のような支援者に向けての説明会はなかったのだと思います。

【参考】川井健著 『民法概論1 民法総則 第4版』 有斐閣、2008年3月、185頁

まとめ

このクラファン詐欺疑惑については、まさに「スペシャル本がウェブ媒体だと当初から知っていたなら支援者は支援しなかったのか」であると思います。

ガイドブックの種類が紙媒体、ウェブ媒体うんぬんよりも、マニラの印象を良くしたいという彼らの情熱を支援したいと思った人がほとんどではないでしょうか。したがいまして、詐欺の構成要件にあたる、申し込み時の支援者の錯誤は無いものとして、詐欺にはあたらないと個人的には思います。

他にもいろいろと名誉毀損や脅迫などにも言及したかったのですが、なんせ法律的観点から書いているので時間がかかり、今日はここまでとしたいと思います。かなり専門的な記事になってしまいましたが、まだまだ掘り下げるところもあり、素人からするとここら辺までの説明が限界かなと。

「マニラのイメージを変えたい」、それに共感した人が支援をし、金銭を提供したと思っていたので今回の炎上はなんだか寂しいきもします。

時間があれば、その他の法的問題についても記事にしたいと思います。

【参考】~民事上と刑事上の詐欺の違い~ ICO詐欺を例に

【参考】お金を持ち逃げ!クラウドファンディングの詐欺やトラブルはあるの?

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