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サクッとわかる「プロバイダ責任制限法」【ブロガー、各種中の人は誰もが知るべき】

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みなさんこんにちは。先日バンコクからマニラに戻ってまいりましたティーケージー@マニラです。

 

さて、バンコクから戻りちょっと一息ついていたところ、契約しているレンタルサーバー会社から恐ろしいメールが届きました。内容は、このブログが第三者の権利を侵害しているため、プロバイダ責任制限法に基づき該当ページを削除する趣旨のものでした。

 

先日の誹謗中傷コメントに続き、このブログもけっこう人に見られるようになったものだなーと思う反面、何かしら行動を起こさないといけないと思い、あまり知識のなかったプロバイダ責任制限法という法律について、改めてみなさんとシェアしたいと思います。

 

 

プロバイダ責任制限法とは

 

インターネットをする人

 

巷で言われているプロバイダ責任制限法とは、実は正式名称は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」と言います。平成13年(2001年)に施行された法律となります。

 

このプロバイダ責任制限法は、インターネット上のウェブページや掲示板上での誹謗中傷等によって権利が侵害された場合、インターネットプロバイダー等の「損害賠償責任の制限」及び「発信者情報の開示を請求する権利」につき定めるものです。

 

プロバイダ責任制限法関連の法律は、上記の「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」ともう一つ、省令で定められた「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第四条第一項の発信者情報を定める省令 」というものがあります。民法や会社法のように、膨大な条項は無いので、読みやすい条文だと思います。

 

 

プロバイダ責任制限法の当事者

 

ソーシャルメディアマップ

 

プロバイダ責任制限法には、当事者が数名出てきます。ここではその当事者について説明したいと思います。

外部リンク 【PDF】特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限 及び発信者情報の開示に関する法律 -解説-

 

特定電気通信役務提供者

第二条第三項 特定電気通信役務提供者

特定電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者をいう。

「特定電気通信役務提供者」とは、条文上は難しく書かれていますが、要はインターネットサービスプロバイダー、サーバの管理者・運営者等(以下、「プロバイダー等」という)を指します

 

発信者

第二条第四項 発信者

特定電気通信役務提供者の用いる特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を記録し、又は当該特定電気通信設備の送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を入力した者をいう。

「発信者」とは、要は、ネット上に書き込みをした人、ブログの執筆者、ツイッターでつぶやいた人などです

 

プロバイダ責任制限法のトリセツ

 

前述したとおり、プロバイダ責任制限法では2つの機能が規定されています。「インターネットプロバイダ等の損害賠償責任の制限」と「発信者情報の開示を請求する権利」です。下記で具体的に見ていきます。

 

インターネットプロバイダ等の損害賠償責任の制限(法第3条)

 

プロバイダ責任制限法図解

 

プロバイダ責任制限法は上記のような場合を想定しています。発信者がネット上に書き込んだ「ヤブ医者」という誹謗中傷を見た被害者が、プロバイダー等に削除の申出をした場合に、掲示板の管理者であるプロバイダー等は下記の2つの行動をとることになります。

 

  • 誹謗中傷を削除しない
  • 誹謗中傷を削除する

 

誹謗中傷があったのだから、プロバイダー等はすぐに削除すればいいじゃんと思うかもしれませんが、実際に誹謗中傷かどうかをプロバイダー等が判断するのは難しいです。その誹謗中傷に違法性が無く、単なる事実が書き込まれていた場合は、表現の自由を奪うことになるので、これまた問題になるからです。

 

そこでこのプロバイダ責任制限法は下記のとおり、プロバイダー等の責任が免除される場合を規定しています。

 

「書き込みを放置」しても、「被害者」に対する責任を負わない場合

  • 他人の権利が侵害されていることを知っていた場合以外
  • 他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき以外

逆に言うと、権利侵害を知っていた場合状況から見て知ることができた場合には責任を負うということです。

 

「書き込みを削除」しても、「発信者」に対する責任を負わない場合

  • 他人の権利が侵害されていると信じるに足る相当の理由があった場合
  • 削除の申出があったことを発信者に連絡して7日以内に反論がない場合

2番目の「発信者に連絡して」というくだりはまさに、私がサーバー管理者から連絡を受けた状況ですね。

 

ネット上の書き込みが他人の権利を侵害しているかを判断するのは、専門家でないと正確な判断ができないため、サーバー管理者は、手っ取り早く判断を下せる「発信者に連絡をする」という手法が良くとられます。

 

PDF プロバイダ責任制限法の概要③ ~権利侵害情報の削除(第3条)~/総務省

 

発信者情報の開示を請求する権利(法第4条)

 

 

プロバイダ責任制限法の第4条1項には、下記の2つの要件を満たす場合に被害者がプロバイダー等に発信者情報の開示を請求できる旨が規定されています。

 

  • 侵害情報の流通によって誹謗中傷の被害者等の権利が侵害されたことが明らかであること
  • 損害賠償請求の行使その他開示を受けるべき正当な理由があること

 

また、プロバイダー等が発信者情報の開示請求を受けた場合に、原則として、開示するかどうかについて発信者の意見を聴かなければならないことが第4条2項で規定されています。但し、掲示板等、発信者に対して意見聴取をすることが不可能又は著しく困難な場合は、意見聴取は行わなくてよいことになっています

 

PDF プロバイダ責任制限法第4条 ~発信者情報の開示請求~/総務省

 

「サクッとわかるプロバイダ責任制限法」まとめ

 

以上、ざっくりとした解説でしたが、実はこのネット上の誹謗中傷などに関する法律は奥が深く、プロバイダ責任制限法は条文こそ少ないですが、各種手続き、関係法令、判例も数多くあり、本記事で紹介するには、あまりにスペースが膨大になりそうなので、やめておきます(笑)。

 

機会があれば、発信者情報の開示を請求する際の、必要情報や書類を紹介した記事、プロバイダ責任制限法に関する判例を解説した記事をおいおい作成していこうと思います。

 

外部リンク ネット風評被害に関連する案件を、弁護士等に相談できる無料・電話相談が可能な相談窓口の検索サービス「風評被害相談サポート」

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