2017年におきた「てるみくらぶ」の倒産。1998年設立のてるみくらぶは自社ウェブサイトを利用したオンライン予約によるハワイ、サイパン、韓国、台湾を中心とした一都市滞在型ツアーで、一定の地位を築いた格安旅行会社です。
しかしながら、2017年初頭には、航空券が発券できなくなったりツアー催行が中止されたりするなどのトラブルが相次ぎ、2017年3月27日、てるみくらぶは東京地方裁判所に自己破産を申請し経営破綻となりました。その被害者の多さや悪質な手口は当時、ニュースにもなりましたので、聞いたことがある人も多いかもしれませn。
旅行業界に激震が走った、てるみくらぶの倒産劇。アメリカ留学やフィリピン留学をはじめとした海外留学エージェントビジネスも「てるみくらぶ」のような、手数料ビジネスです。そのため留学エージェントも「てるみくらぶ」のように消費者からお金を預かるだけ預かって倒産するリスクがあります。
以下では、「留学エージェントとは何か?」について言及し、実際に経営破綻した留学エージェント、倒産しそうだった留学エージェントを紹介したいと思います。
留学エージェントとは
留学エージェントとは、アメリカやイギリスの大学等へ留学する場合はもとより、ワーキングホリデーやフィリピン留学などの語学留学をする際に、手続き全般を留学生の代わりに代行してくれる会社で、留学代理店、留学斡旋会社とも言われます。
留学エージェントは、問い合わせに来た留学生に、提携している世界各地の大学や語学学校を紹介し、紹介料を受け取って利益をはじき出すビジネスモデル。遠い異国の地のことを良く知り、複雑な必要書類の知識も豊富、提携校も複数あるので、留学のことをあまりよく知らない初心者にとっては、有難い存在だと言えます。
留学エージェントの手数料相場
留学エージェントが留学生に大学や語学学校を紹介した場合には、慈善事業ではないので、もちろん手数料が発生します。ただ、手数料をどこから得るのはエージェントによってまちまちで、提携している語学学校から手数料を得る場合もあれば、留学生から手数料を取る場合もあります。
留学エージェントが提携学校から手数料を受け取る場合の相場は20〜30%。留学費用が100万円だとすれば、そのうちの20~30万円を留学エージェントが受け取り残りの80~70万円を留学先学校が受け取るというかたちになります。
大手留学エージェント
留学エージェント「EF」
1965年にスウェーデン、ルンドで創業したEF(EF Education First)。世界114の国と地域を対象に612のオフィスと52,000人の従業員を雇用するグローバルな世界最大級の留学エージェントです。
このほかEFでは、無料の英語力テスト「EFSET」(EF Standard English Test)を実施したり、ビジネススクール、オンライン英会話プログラムEF English Liveの運営など語学に関して幅広いビジネスを行っています。
EFのホームページから申し込み可能な「海外留学が1週間無料キャンペーン」も定期的に行っており、日本人にも人気の留学エージェントの一つとなっています。
留学エージェント「WISH」
WISHは1987年3月に設立されました。世界10ヵ国22都市にあるWISHのサポートオフィスには、日本人スタッフが常駐していて、留学生にきめ細かいサービスを提供しています。
また、WISHは「J-CROSS(一般社団法人 留学サービス審査機構)」の認証を受け、日本旅行業協会(JATA)など複数の業界団体にも所属しており、官公庁長官旅行業登録第1種としての許可を受けている、留学業界の中では数少ないエージェントの1つです(ホームページより)。
倒産した留学エージェント
一見、世界中にオフィスがあり、欧米人と深いかかわりをもち、華々しいビジネスに見える留学エージェントですが、その裏では、冒頭の「てるみくらぶ」のように倒産、経営破綻した留学エージェントがあります。倒産するともちろん、残余資産が無い限り、既に振り込まれた留学費用は返金になりません。
これから留学エージェントを活用しようと思っている人は、こういったリスクを踏まえ、留学手続き中にちょっとでもおかしいなと思ったら、一度立ち止まって考えてみることが大事でしょう。
以下では過去に倒産劇のあった留学エージェントをシェアしたいと思います。
ゲートウェイ21
欧米留学をメインに行っていた大手留学エージェントの「ゲートウェイ21」(東京・新宿)。2008年9月26日に業務を停止、2008年10月1日に東京地裁に自己破産手続きの開始を申し立てました。負債総額は約12億9000万円で、そのうち被害者約1800人からの返還要求分が9億5000万円にものぼる、日本の留学エージェントの倒産では史上最悪の規模になります。
被害者の中には、渡航後、ホームステイ先や学校を追い出され、途方に暮れている人や、学費未払いで留学が停止さた人もいました。
まとめWikiに以下のように破綻までの流れが掲載してあったので、一部抜粋しました。もし、申し込んだ留学エージェントに同じような兆候があれば、留学費用の支払いは止めておいたほうが良いです。
経営破綻までの流れ
- 支社網見直しという理由で池袋支社を銀座支社に統合(2008年6月23日)
- リニューアルという理由で広島支社をで一時閉鎖(9月20日)
- リニューアルという理由で仙台支社を一時閉鎖(9月22日)
- 電話をしてもつながらない支店が増える(9月24日頃~)
- 主要ニュースサイトが倒産を発表(9月29日)
- 自己破産手続きの開始を申し立て(10月1日)
- 1000人を超す参加者のもと債権者集会が開催(10月5日)
倒産基本情報
- 所在地:新宿区新宿4−1−23
- 代表者:福井伴昌
- 年商:28億円
- 破産申し立て:2008年10月1日
- 負債総額:約12億9000万円
- 被害者数:約1800人
サクシーオ
英語圏を中心に語学留学、ホームステイ、ワーキングホリデーを取り扱っていた株式会社サクシーオ(新橋・東京)。2010年7月4日に業務を停止、東京地裁に破産申請を行いました。負債総額は約8億円。留学に行けなかった人は約400人でした。
経営破綻の兆候
ブロガーで元美容部員の八木あやか (archive)さんが、倒産の兆候をブログに書いていたので下記でまとめてみます。
- 「カナダ 留学」「カナダ ワーキングホリデー」のワードで検索結果の一番上
- 新橋駅直近の一等地のオフィス
- バンクーバー、フェアモントホテル地下一等地のオフィス
- 従業員のサービス残業が平常化
- 厳しい売り上げノルマ
倒産基本情報
- 所在地:港区新橋1-15-5
- 代表者:山本栄弘
- 年商:26億4千万円(平成20年6月期)
- 破産申し立て:2010年7月4日頃
- 負債総額:約8億円
- 被害者数:渡航予定435名、渡航中750名、学校やホームステイ先等に代金が完全に支払われていない顧客205名以上
【参考】日本の大手留学センター「サクシーオ」の倒産と現地の対応
グローバルアソシエイツ
株式会社グローバルアソシエイツ(港区・東京)は2012年8月14日付けで倒産、債務整理の手続きを開始しました。検索してもあまり情報が出てこないので、負債総額や被害者数はそれほど多くないと思われます。
倒産基本情報
- 所在地:東京都港区南青山一丁目2番6号ラティス青山705
- 代表者:成澤光
- 年商:不明
- 破産申し立て:2012年8月14日
- 負債総額:不明
- 被害者数:不明
【参考】株式会社グローバルアソシエイツの「債務整理」についてのお知らせ
留学ドットコム
実際には経営破綻ではないですが、ニュースにて倒産の危機という風に報じられました。現在ニュースサイトでは記事は非公開にされて、普通ではみれない状況ですが、当時たまたまスマホのスクショを撮っていたので上記で貼付させてもらいます。
留学ドットコムと言えば以前、「フィリピンセブ留学ドットコム」と「educareerフィリピン留学ドットコム」の違いを記事にしましたが、そのどちらかなのかも知れません。
事実は小説よりも奇なり珍なり。フィリピン留学ドットコムとは?その申し込み価値は?
ニュース記事には「韓国最大大手」とあるので、2つの留学ドットコムのうちの韓国資本のほうかと思いますが、以前書いた別の記事で、「educareerフィリピン留学ドットコム」は韓国資本である旨判明していましたので、この倒産寸前でニュースになった留学ドットコムは「educareerフィリピン留学ドットコム」ということになります。>>大阪にあるフィリピン留学ローカルor大手エージェントの特集記事やねん
ちなみに「フィリピンセブ留学ドットコム」のホームページには、今回の報道が自社ではない旨説明しているページがあります。財務基盤は磐石で、未払いも有利子負債も一切無いようです。
基本情報
- 所在地:不明
- 代表者:不明
- 年商:約10億円
- 破産申し立て:営業継続中
- 負債総額:約5億4000万円
- 被害者数:約200人
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