- フィリピン税務の用語定義(Terms)
- フィリピン法人税法の体系
- フィリピンの法人税「課税年度(Tax Year)」
- フィリピンの法人税「課税所得と適用税率(Taxable Income and Applicable Tax Rate)」
- フィリピンの法人税「損金に関する定め(Tax Deductible)」
- フィリピンの法人税「最低法人所得税(Minimum Corporate Income Tax:MCIT)」
- フィリピンの法人税「繰越欠損金制度(Operating loss carryforwards)」
- フィリピンの法人税「不当留保金課税制度(Improperly Accumulated Earnings Tax)」
- フィリピンの法人税「法人所得税の申告と納税期限」
- フィリピンの法人税「拡大源泉税(Expanded Withholding Tax)」
- フィリピンの法人税「最終源泉税(Final Withholding Tax: FWT)」
- フィリピンの法人税「付加給付税(Fringe Benefit Tax)」
- フィリピンの法人税「印紙税」
- フィリピンの法人税「移転価格税制(Transfer Pricing Regulation)」
- フィリピンの法人税「二国間租税条約(Bilateral Tax Treaties)」
- フィリピンの法人税「財務諸表の提出」
フィリピン税務の用語定義(Terms)
- APA:事前確認制度
- CAC:税関覚書回状(Custom Agreement Circular)
- PAS:Philippine Accounting Standards。フィリピン会計基準。
- PFRS:Philippine Financial Reporting Standardの略。フィリピン財務報告基準
- RA:Republic Acts
- RMC:歳入覚書回覧。
- RMO:歳入部指令覚書
- RR:Revenue Regulationsの略。歳入規則。
- SEC Memorandum Circular:フィリピン証券取引委員会覚書回覧。
- TRAIN:Tax Reform for Acceleration and Inclusionの略。税制改革法。2017
年7月24日に成立。
フィリピン法人税法の体系
- 内国歳入法 National Internal Revenue Code
- 内国歳入法規則 Revenue Regulations 2019 2018 …
内国歳入法並びに関連する法規の施行細則で、歳入部長官の進言により大蔵大臣が発遣するもの。 - 歳入部指令覚書 Revenue Memorandum Orders 2019 2018 …
歳入部の運営(査察を除く)に関わる指令、指針、活動、目的を遂行する上で必要な手続を定めたもの。 - 歳入覚書回覧 Revenue Memorandum Circulars 2019
- 歳入部通達覚書 Revenue Memorandum Rulings 2002 2001 …
歳入部長官が、法令の解釈及び意見を納税者に伝える目的で、具体的な事案の税務上の取扱いを公表したもの。 - 歳入部通達 BIR Rulings 2019(https://www.bir.gov.ph/index.php/rulings-and-legal-matters/rulings/2019-bir-rulings.html)
歳入部が、納税者等の利害関係者からの税法の解釈に関する質問に対して、公式の見解を示したもの。 - 納税申告書 Tax Return Forms
法人の確定申告書は、 BIR Form No. 1702。又、見積納付申告書は、 BIR Form No. 1702Q。
外国投資法 Foreign Investment Law
- 1987年包括投資法 Omnibus Investments Code of 1987
- 1991年外国投資法 Foreign Investments Act of 1991
- 1992年基地転換開発法 Bases Conversion and Development Act of 1992
- 1994年輸出開発法 Export Development Act of 1994
- 1995年特別経済地域法 Special Economic Zone Act of 1995
フィリピンの法人税「課税年度(Tax Year)」
原則として12月決算が採用されていますが、会社によっては決算期を別の月にすることが可能です。
フィリピンの法人税「課税所得と適用税率(Taxable Income and Applicable Tax Rate)」
- 国内法人(フィリピン法の下で設立された法人):国内外源泉のすべての課税所得(総所得から控除額を控除)に対して最高30%の税率。
- フィリピン国内で事業に従事する支店などの居住外国法人:フィリピン源泉の課税所得に対してのみ、国内法人と同じ税率。
- フィリピン国内で事業に従事しない非居住外国法人:フィリピン源泉の総所得(控除なし)に対して最高30%の最終源泉税。
2018年11月現在の法人所得税率は30%。2008年12月までは35%だったのですが、2009年1月より30%に引き下げられています(拡大付加価値税法(共和国法第9337号:REPUBLIC ACT NO. 7918))
フィリピンの法人税「損金に関する定め(Tax Deductible)」
CHAPTER VII
ALLOWABLE DEDUCTIONS
SEC. 34. Deductions from Gross Income.
第24条(A)、25条 (A)、26条、27条(A)(B)(C)及び28条(A)(1)に基づく所得税の対象となる課税所得の計算におけるe(M)項以外のもので、本条に基づき控除が認められない雇用主と従業員の関係において提供されたパーソナルサービスから生じる報酬収入を得る納税者を除き、総所得(gross income)から以下の控除が認められます。
(A)費用(Expenses)
(B)利子(Interest)
(C)税金(Taxes)
(D)損失(Losses)
(E)負債(Bad Debts)
(F)減価償却(Depreciation)
(G)石油とガスの井戸と鉱山の枯渇(Depletion of Oil and Gas Wells and Mines)
(H)慈善およびその他の寄付(Charitable and Other Contributions)
(1)原則として、下記のものは
- 公的目的のみでのフィリピン政府への寄付またはギフト、またはそれらが使用するための寄付またはギフト
- 公的目的のみでのフィリピン政府機関への寄付またはギフト、またはそれらが使用するための寄付またはギフト
- 公的目的のみでのフィリピン地方政府への寄付またはギフト、またはそれらが使用するための寄付またはギフト
- 信仰、チャリティ、科学、青少年およびスポーツの発展、文化または教育目的のみで組織・運営されている認定内国法人や団体への寄付またはギフト
- 文化または教育目的への寄付またはギフト
- 退役軍人のリハビリテーションのための寄付またはギフト
- 社会福祉施設への寄付またはギフト
- NGO団体への寄付またはギフト
公的目的のみ、または公的な目的のために組織され運営されている公認の国内企業または団体に対して、実際に課税年度内に支払われた、または寄付されたもの。
宗教、慈善、科学、青少年およびスポーツの発展、文化または教育目的のため、あるいは退役軍人のリハビリテーションのため、または社会福祉施設のために、あるいは非政府組織のために、財務長官によって公布された規則および規則に従ってコミッショナーの推薦。
純利益の一部が個人株主または個人の場合には10パーセント(10%)を超えない額で、個人の株主または個人の利益になる場合は5パーセント(%)を上限とします。法人の場合、納税者の課税所得のうち貿易、事業または職業から派生したもの、およびこれと次のものの恩恵を受けずに計算されたもの翼の副段落。
(2)全額控除可能な拠出
前項の規定にかかわらず、以下の機関または団体への寄付は全額控除されるものとします。
(a)政府への寄付
教育、健康、青少年およびスポーツ開発における資金提供、優先的活動の実施、またはその使用に使用するために、フィリピン政府またはその政府機関、あるいは完全所有の公営企業を含む政治団体への寄付地域開発協議会や民間の萎縮性のある人や機関を含む、適切な政府機関との協議のもと、国家経済開発局(NEDA)によって決定された国家優先計画に従った上記年次優先順位計画に従わずに政府またはその機関もしくは政治的な細分類に対して行われたいかなる寄付も、本項(1)に規定する制限の対象となるものとする。
(b)特定の外国機関または国際機関への寄付
フィリピン政府および外国の機関もしくは国際機関によって締結された協定、条約もしくは約束もしくは特別な法律に従って、完全に控除可能な外国の機関または国際機関への寄付。
(c)認定非政府組織への寄付
「非政府組織」という用語は、非営利の国内企業を意味します。
(1)科学、研究、教育、キャラクター育成および青少年およびスポーツの発展、健康、社会福祉、文化的または慈善目的、またはその組み合わせのためにのみ組織され運営されており、その純利益の一部は恩恵を受けない。任意の個人のもの
(2)拠出金が受領される認定非政府組織の課税年度終了後3ヶ月目の15日以内に、それが目的とする目的または機能を構成する活動の積極的な実施に直接利用すること。長官の推薦を受けて公布される規則および規則に従って、財務長官によって長期間が与えられない限り、組織され運営される。
(3)事務経費の水準は、年次で、長官の推薦により、財務長官が定める規則および規則に適合するものとするが、30%を超えることはできない。総経費のうちそして
(4)解散した場合でも、同様の目的のために組織された他の非営利の国内企業、または公的目的のために国家に分配される、あるいは使用するために裁判所によって他の組織に分配される資産当該裁判所の判決のような方法で、解散した組織が組織された一般的目的を最もよく達成するものとする。
財務長官によって規定されるような諸条件に従うことを条件として、「利用」という用語は次のことを意味します。
(1)認定非政府組織が設立または組織された目的で1つ以上の目的を達成するために支払われた、または利用された現金または現物(管理費を含む)の金額。
(2)認定非政府組織が設立または組織された1つまたは複数の目的の実行に直接使用された(または使用目的で保有された)資産を取得するために支払われた金額。
認定非政府組織の1つまたは複数の目的の範囲内にある特定のプロジェクトのために確保された金額は、利用として扱われる場合がありますが、そのような金額が確保された時点でのみ認定非政府組織は長官は、長官の推薦により、財務長官が公布する規則および規則に規定される期間内に特定のプロジェクトに対して支払われるが、そのプロジェクトは5年を超えないことすぐに資金を支払うよりも、そのような金額を節約することによって、よりよく達成できるものです。
(3)Valuation.chanrobles仮想法律図書館 – 金銭以外の財産の慈善寄付の金額は、当該財産の取得原価に基づくものとします。
(4)控除の証明。仮想法律図書館 – 寄付または贈与は、長官の推薦を受けて財務長官が規定する規則および規則の下で検証された場合に限り、控除として認められるものとします。
(I)研究開発費(Research and Development)
(J)年金信託(Pension Trusts)
(K)特定の支払の控除に関する追加要件(Additional Requirements for Deductibility of Certain Payments)
(L)選択式標準控除(Optional Standard Deduction)
前項の下で認められている控除の代わりに、非居住外国人以外の、セクション24の下で課税の対象となる個人は、彼の総所得の10パーセント(10%)を超えない量で標準控除を選ぶことができます。
納税者が彼の見返りに任意の標準控除を選ぶ意思を表明しない限り、彼は前の小節で認められた控除を利用したと見なされるものとします。
申告時に行われた選挙は、申告が行われた課税年度には取り消すことができません。ただし、任意の標準控除を受ける権利を有し、請求を受けた個人は、その申告書とともに提出する必要はありません。さらに、長官が許可する場合を除き、当該個人は、財務長官が公布した規則および規則によって要求されるように、課税年度中の総所得に関する記録を保持しなければならない。 、長官の推薦に応じて。
(M)個人納税者の健康保険および/または入院保険に対する保険料の支払い(Premium Payments on Health and/or Hospitalization Insurance of an Individual Taxpayer)
前項の規定にかかわらず、財務長官は、局長の推薦により、公聴会がこの目的のために開催された後に、小節に基づく細分化された控除のいずれかについて規則および規制、制限または上限を定めることができる。 本条のA)から(J)まで:このような上限または制限を決定するために、財務長官は以下の要因を考慮しなければならない。(1)各特定産業の実際の支出要件に対する規定の制限の妥当性。 (2)支出水準に対するインフレの影響:さらに、現行法の下ですでに上限が課されている費用の項目に上限が課されないことを条件とする。
フィリピンの法人税「最低法人所得税(Minimum Corporate Income Tax:MCIT)」
- 最低法人所得税率:2%
- 課税対象所得:課税年度末時点の総所得(Gross Income:総収入から売上返品、値引、割戻及び売上原価を差し引いた金額)。
- 課税対象法人:事業の4年度目以降の法人、かつ、正味課税所得がマイナスの場合又は、算出される最低法人所得税額が、通常の所得税額すなわち課税所得の30%の金額よりも大きい場合の法人。
- 申告及び納付:4半期ごと。
通常の法人税額と最低法人所得税額を比較していずれか高い金額を納付することになります。また、通常の法人所得税額を上回る部分の最低法人所得税額は翌年度より3年間繰り延べることができ、通常の法人所得税額から控除することができます。
フィリピンの法人税「繰越欠損金制度(Operating loss carryforwards)」
作成中
フィリピンの法人税「不当留保金課税制度(Improperly Accumulated Earnings Tax)」
- 課税対象者:非上場のフィリピン国内企業(内資、外資を問わず)
- 課税対象:事業に合理的に必要(reasonable needs of the business)とみなされる額を超えて不当に留保される課税所得(improperly accumulated taxable income:IATI)
- 税率:10%
フィリピンの法人税「法人所得税の申告と納税期限」
フィリピンにおける法人所得税は四半期ごとの申告・納税、年次ごとの確定申告が必要です。
四半期申告
- 申告書:BIR Form 1702Q
- 提出期限:四半期末より60日以内
確定申告
- 申告書(30%法人所得税率適用の法人・パートナーシップ・その他の非個人):BIR Form 1702-RT
- 申告書(税法や特別法で法人税が免除されている法人・パートナーシップ・その他の非個人):BIR Form 1702-EX
- 申告書(複数の法人税率対象またはPEZAやBOIの様な特別税率
が適用されている法人・パートナーシップ、その他の非個人):BIR Form 1702-MX - 提出期限:事業年度末より3ヶ月と15日以内 例)12月決算会社の場合は4月15日、3月
決算会社の場合は7月15日
(申告書式の変更:RR No.2-2014)
フィリピンの法人税「拡大源泉税(Expanded Withholding Tax)」
作成中
フィリピンの法人税「最終源泉税(Final Withholding Tax: FWT)」
作成中
フィリピンの法人税「付加給付税(Fringe Benefit Tax)」
従業員(平社員を除く)に付与する物品、役務、金銭等価物による手当(付加給付)の金銭等価額を65%でグロスアップ(割戻し)したものに課税されます。
TRAINにより、2018年1月1日以降に適用される税率は、32%から35%に引き上げられます。
フィリピンの法人税「印紙税」
TRAINにより、税率が変更されているので注意が必要です。以下抜粋です。
- 会社の議決権行使の委任状:30ペソ
- 不動産の賃貸借契約:年額2,000ペソまで6ペソ、年額2,000ペソ超について、1,000ペソに対して2ペソ
- 不動産の売買証書:対価が1,000ペソ以下は15ペソ、1,000ペソ超について、1,000ペソごとに15ペソ
フィリピンの法人税「移転価格税制(Transfer Pricing Regulation)」
移転価格税制とは、関連企業間の取引によって所得の移転を防止するための制度です。フィリピンにおいても2013年1月23日、歳入規則(RR)第2-2013号により、移転価格ガイドラインが発行され、2013年2月9日に発効しました。
移転価格ガイドラインの発行により関連会社間のクロスボーダー取引と国内取引の双方に独立企業間価格(arms length price)が適用されることとなりました。
対象取引
- 法人間取引
- 関連当事者取引
- 資本取引以外のすべての取引
独立企業間価格の算定方法
- 独立価格比準法(CUP)
- 再販価格基準法(RPM)
- 原価基準法(CPM)
- 利益分割法(PSM)
- 取引単位営業利益法(TNMM)
事前確認(APA)制度
事前確認(APA)制度とは、移転価格課税リスクを予め低減するために、BIRとの間で取引の前に独立企業間取引価格であるということを確認する制度です。
関連文書の保管
納税者には移転価格の十分な関連文書を保管しておくことが求められます。確定申告時にBIRに提出する必要はないですが、BIRからのリクエストがあった場合には、すぐに提出するできるよう予め準備しておくことが義務付けられました。
フィリピンの法人税「二国間租税条約(Bilateral Tax Treaties)」
日本フィリピン租税条約に基づき下記のとおり課税されます。
- 利子送金課税:10%
- 配当金送金課税:10%(出資比率10%以上の場合)、15%(出資比率10%未満の場合)
- ロイヤルティー送金課税:10~15%
フィリピンの法人税「財務諸表の提出」
BIRが定める、法人の確定申告時の財務諸表提出義務(RR 21-2002)。
- 貸借対照表(balance sheet)
- 損益計算書(income statement)
- 利益剰余金計算書(statement of retained earnings)
- 株主持分変動計算書(statement of changes in financial position)
またRR 15-2010により、前年に支払った税額及び税務査察等の状況に関する下記項目を注記として開示することが義務となりました。
- 課税年度におけるOutput VATの額および勘定科目、算出のベースとなった金額
- 課税年度におけるInput VATの額および①期初における総額、②課税年度における国内での購入、③税額控除および還付請求またはその他の調整、④期末における総額の詳細
- 支払済みまたは計上済みの輸入陸揚げコスト及び関税額
- ①国内で製造された課税対象品目、②輸入された課税対象品目、について支払われたタバコ、酒類、自動車、鉱物、オイル、石油等の主な品目別の物品税額
- ローン、株式、その他の取引に関する印紙税額
- 固定資産税を含むその他の国税及び地方税額、免許料、許可料
- ①給与及びベネフィットに課される税、②控除可能源泉税、③最終源泉税、に分類される源泉税額
- 税務査察の対象年度及び対象税額。また、異議申立を行っているか否か
- BIR外で係争中の税務訴訟の有無、及び対象税額
参考:
- 2019/1/28 税制 | フィリピン – アジア – 国・地域別に見る – ジェトロ
- 2019/1/28 [PDF]「フィリピン その他税制 詳細」(485KB) – ジェトロ
- 2018/3/ [PDF] フィリピン 会計・税務 ハンドブック 2018年版 – PwC
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