フィリピン

フィリピンでの会社設立のしかたと失敗事例、工業団地について

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マニラが継続的な大雨のため、ネットが繋がらず、日本だとかんしゃくを起こしていますが、ここはフィリピンなのでしょうがない精神でいるたかぎです。

今日はネット不通のため、画像や調べ物ができず、何かできることはないかなと考えた結果、書評をシェアしようと思います。

私の電子書籍レパートリーの中から今日はフィリピンのビジネス関連の書籍の紹介です。

 

フィリピン進出完全ガイド

最近はフィリピン進出企業用に様々なマニュアル本が出ていますが、これはその中でも先駆け的存在。著者の坂本氏は公認会計士、システム監査技術者。株式会社アイキューブ代表取締役社長です。ん、アイキューブといえば、マニラまんが図書館の運営会社がアイキューブですが、同じところでしょうか?

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フィリピンでの会社設立の流れ

ここではみなさんが(誰!?)一番気になるフィリピンでの会社設立の流れを紹介したいと思います。この書籍がけっこう昔の書籍なので細かいところは変更になっている部分もありますが、会社を起業し設立した人に話を聞いてみるとだいたいはこんな感じだそうです。

  1. 証券取引委員会(SEC)での社名予約と定款作成、署名
  2. 資本金振込みと払込証明書の取得
  3. 定款及び財務役宣誓書の公証
  4. SECへの申請及び仮納税者番号の発行
  5. バランガイ(町内会)クリアランスの取得
  6. 法人住民税の支払い
  7. 地方自治体からの営業許可書(ビジネスパーミット)の取得
  8. 法定帳簿の備え付け
  9. 税務署への事業登録
  10. 印紙税及び税務署登録料の納付
  11. 請求書及び領収書の印刷許可取得
  12. 請求書及び領収書の印刷
  13. 社会保険庁(SSS)への雇用者登録
  14. 住宅積立基金(HDMF)への登録
  15. フィリピン健康保険組合(PhilHealth)への雇用者登録

実質的には法人設立は1~4までなので、4までを詳細に見ていくと下記のような流れになります。

  1. 社名候補を決めて、社名予約を行なう
  2. 会社の目的を明確化する
  3. 法人の本店所在地を決める
  4. 資本構成と株主を決める
  5. 発起人兼初期の取締役を選定する
  6. 定款及び付属定款を策定する
  7. 銀行口座を開設し、資本金の振込みを行なう
  8. SECへの申請を行い、承認を得る

社名候補を決めて、社名予約を行なう

フィリピンの株式会社名は末尾がIncorporated(Inc.)かCorporation(Co.)のいずれかで決めます。一度社名を登録するとフィリピン国内で同じ社名を登録することはできません。

会社のロゴや事業上の通称等の商標登録は知的財産庁の管轄なのでベット登録が必要になります。

会社の目的を明確化する

日本と異なり、フィリピンの会社の事業目的は1社1目的です。また、自社の主目的以外を主目的とする会社へ投資する場合には、株主総会で発行済株式総数の3分の2以上の承認が必要になるなど、事業目的はフィリピンでは日本より厳格になっています。

法人の本店所在地を決める

昔と違い、現在は番地まで指定することが必要になっているようです。これにより、本店移転の場合には定款変更手続きが必要となります。

また本店移転の際は、所轄の地方自治体や税務署等にも届出が必要で、所轄税務署変更となると事前に従前の税務署から税務調査を受けないといけません。マカティのように4つの所轄税務署がある場合もありますので、同じエリアであっても注意が必要です。

資本構成と株主を決める

ネガティブリストに掲載されている一部事業目的については、外資規制がかけられ、業種によっては最低資本金が別途定められていますのでそれに準じた資本構成にしなければなりません。

発起人兼初期の取締役を選定する

日本の親会社は株主になることはできますが、発起人や取締役になることはできません。会社の設立には最低5名の発起人と取締役を要し、これは具体的な個人でなければなりません。また、これら個人は株主でもなければならないので、最低一人1株を引き受けなければなりません。

また、取締役の過半数はフィリピン居住者でなければなりません。

定款及び付属定款を策定する

上記が決定し、会計期末を決めれば、定款・付属定款がほぼ出来上がります。この定款等には選ばれた発起人全員が署名することで有効となります。

その後署名された定款を公証すれば定款に関する手続きは完了です。

銀行口座を開設し、資本金の振込みを行なう

署名された定款を持って、発起時の財務約が代理で口座を開設します。この口座に払込額を入金することで、株式の引き受け・払い込みが終了となります。

この銀行はフィリピンの銀行のほか、外国銀行のフィリピン支店でも可能です。現在、三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行がフィリピンに支店を持っていて、三井住友銀行やりそな銀行も提携しているフィリピンの銀行があるそうです。

フィリピンの銀行関連記事

 

上記ステップを得て必要書類一式をSECに申請、しばらくすると設立承認が下りるという流れです。

 

フィリピン進出企業の失敗例

次に、この本に載っていたフィリピン進出企業の成功・失敗事例を見てみたいと思います。ただ、成功事例を見ててもあまり面白くないので、ここでは失敗事例を紹介したいと思います。

ハーゲンダッツ(ゼネラル・ミルズ・フーズ)

2000年からフィリピンに進出していましたが、2012年に撤退しました。理由としては12年経過しても事業が軌道にのらなかったためだそうです。

フォード・モーター

1999年に2億7000万米ドルを投じたサンタロサの自動車組み立て工場を2012年をもって閉鎖。理由としては、スケールメリットと利益不十分だったからだそうです。フィリピン唯一の自動車輸出企業でした。

フィリピン進出完全ガイド 坂本 直弥 (著)

 

フィリピンの工業団地

過去に色々と紹介している工業団地に関してもこの書籍はより詳しく言及しています。フィリピンの工業団地はタイやベトナムで見られるような地盤沈下等を起こしている工業団地は少ないそうです。また、タイの工業団地で問題となった洪水もフィリピンでは問題ないそうです。

セブの工業団地の注意点

では何が問題なのかというと、とくにセブの工業団地では給水が問題になっているらしいです。工業団地が集中するマクタン島はもともとがさんご礁の島で、地下水資源に乏しく、また、ビサヤ地域が元々少雨なので、団地内に、海水を淡水化して供給する施設もあるそうですが、渇水期には給水車に頼らざるを得ない場合があるそうです。

フィリピン進出完全ガイド 坂本 直弥 (著)

マニラの工業団地についての過去記事

 

フィリピンの会社設立まとめ

文字にすると一見簡単そうですが、ここはフィリピン。何もかも手順どおりには行きません。自分で一から立ち上げるというつわものもいますが、無難なのは現地のフィリピン人を雇って、手続きは全てそのフィリピン人を通して行なうのが良いです。

また、すべては予定通りにいかないことを前提でスケジュールや資金繰りを行なうのがベストでしょう。

フィリピン進出完全ガイド 坂本 直弥 (著)

 

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