だいぶ前の記事になるが、マニラで鰻が食べれるレストランを紹介した。フィリピン留学で疲れた体に喝を入れるために挑んだウナギだったが、案内結果になろうとは。。。今日はそんな苦い思い出を彷彿させるような看板を突然目にしてしまった。
鰻味のバングス
バングスとは英語でミルクフィッシュこと。バングス(Bangus)という言葉はタガログ語である。インドネシア語、マレーシア語、オランダ語では「バンデン」(Bandeng)、ハワイ語では「アワ=アワ」(Awa-Awa)という。
そのバングスの鰻バージョンがマニラで食べることができるということで、マニラ経済新聞の口車に乗せられReyes Barbecueというローカルチェーンのレストランに食べに行き、がっくりきたのは3年前の出来事。鰻の蒲焼の本来の味などわからないローカルレストランに、その味を再現すること自体不可能なのである。
時は経ち、3年後の今日、また同じ過ちを繰り返すのかというと、人間は学習する生き物。3年の月日は中学生を高校生に変え、人々の味覚や技術もそれ相応の進歩を遂げているに違い無い。
しかし、ここはフィリピン。人々に期待するだけ野暮なものだ。フィリピン人に期待したところで、その期待値を上回ることは絶対なしえない国だ。おそらく今回のメニューも、3年前を少しも変わっていない。そう心に決めてTOKYOTOKYOのSMノースアネックス店を後にした。
鰻味のバングスを注文
注文してしまった。アネックスのTOKYOTOKYOは後にしたのだが、SMノース本館のTOKYOTOKYOにだどり着き再び例のバングスの看板を見てしまった。これは神が「おたべなはれ」と言っているのだという、フィリピン人のような信仰心を前向きに捉え、レジに向かった。
3年の年月が、彼らの舌とテクニックを向上させたことをここは信じたい。ドリンク、味噌汁、デザートなしのALA CARTEで175ペソぽっきり。入れ物は、グリルチキン照り焼きを注文した時と同じだ。
店内状況
壁の絵がなかなかのハイセンス。バングスをウナギ味にしたてようと、エールを送っているようにも見える。
SMノース本館のTOKYOTOKYOであったが、客入りはまばら。これがUnagi-Style Bangusのせいではないと信じたい。
TOKYOTOKYOのメニュー
現在のメニュー。Unagi-Style BangusのBentoは245ペソ。私がいつも食べるのはCHICKIN KARAAGE WHOLEのALA CARTE。ラーメンに関しては過去記事を参照されたし。
ウナギ絶滅
しかし、なぜここへきてウナギの蒲焼味なのか。確かにフィリピンでも鰻は高級魚扱いで値段も安くはない。また日本では鰻絶滅の危機に瀕しているということで、連日ニュースになっているほどだ。
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- 2018/01/11 ニホンウナギは“絶滅危惧種”「知らない」約4割、 “絶滅危惧種”と知った後「食べるのをやめる・減らす」 約2人に1人ーーウナギの消費に関する意識調査を実施(http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2018/pr20180111/)
確かに、昔よりも最近は鰻はスーパーなどで手軽に購入できていた。昔は近所の鰻やでたった二切れが千円もした記憶がある。
おそらくは近年の日本旅行ブームや日本に働きに出たフィリピン人が日本で格安の鰻の蒲焼に触れ、また、土用の丑の日という摩訶不思議なしきたりに感銘を受け、フィリピンでもという風な流れであろう。
ちなみに土用の丑の日というのは、土用の間のうち十二支が丑の日である日を言い、夏の期間に1、2回ある。
実食
さて、この鰻の蒲焼風バングス。柔らかさは、スプーンで簡単に切れるほど。
しかし、あまりに柔らかすぎて、鰻の蒲焼本来の食感が失われている。確かに味は鰻の蒲焼に似ているが、食感が全然違うため、ぶっちゃけ美味しくなかった。あのウナギのプリンプリンした食感はたとえ味を似せても、再現できないのではと思った。
強いていえば、もっとタレをたくさんかけて貰えばまだパサつき感は防げたのではないかと思う。次回もし頼むとすればソース多めにとでも言おうかと思うほどだ。
ちなみにTOKYOTOKYOのこの手の定食メニューはご飯がお代わり自由のため、例によってアイスクリームディッシャーで4杯も平らげてしまった。
鰻の蒲焼味バングスまとめ
結果として、日本人的には納得のいかない味であったが、良しとしよう。ここは日本ではなくフィリピンなのだから。3年前とは、大した進歩もしていないとはいえ、そのチャレンジ精神は賞賛されるべきものでは無いだろうか。
そして、空前のウナギ絶滅論。もし、PDCAというクオリティマネジメントという言葉を知っているのであれば改良に改良を重ねていつか正真正銘のウナギ味のバングスが絶滅したウナギの代わりとして食卓に並ぶことを望む。そしてその時は鰻の蒲焼風バングスではなく、「バングスの蒲焼」として正々堂々とフィリピン人、日本人、いや世界中の人々の胃の中になだれ込むことを期待している。
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